齊藤 文雄(さいとう ふみお)
東京論理思考事務所 代表
「構想力ある人材の育成を」
懇意にしていただいているある支店長が、900億円の仕事を受注した。「〇〇さんにお願いしたい」とのご指名であったとのこと。彼は電機設備メーカーの営業マンだが、その営業スタイルは一風変わっている。たとえば工場を新設するお客さんから、「〇〇の見積もりを出してくれないか」との依頼に、「そもそも工場の課題は何なのか?」と現場に乗り込み、ライン長たちを集めてワイガヤを実施。「こういうややこしい生産管理を手作業と勘でやっている。とても面倒。できれば誰かにやってもらいたい」との本音を聞き出すと、今度は自社で技術員を集めて、どうすればその作業が楽になるかを協議。さらに他社製のさまざまな設備も絡んでくるので、他社も巻き込んでのワイガヤ協議・・・。
このように彼は、仕事を大きくしてしまう。しかも、自社だけでなく、他社や行政機関も巻き込んで、顧客も想像していなかった素晴らしいものを生み出してしまうのだ。彼の企業の売上となるのはその一部に過ぎず、他社の取り分もしっかりある。もちろん顧客には、コスト以上の価値を提供(たとえば、「日本一、競争力のある工場」)。彼は営業マンというよりも、新しい取り組みを生み出すプロデューサーだ。
経営幹部やマネジャーの仕事には2種類ある。ひとつはマネジメント。改善や創意工夫で、コスト低減や時間短縮、歩留まり改善や品質向上をもたらす仕事だ。そしてもうひとつが、『価値ある仕事の創造』だ。割合で言うと前者が7~8割を占めるだろうが、企業の成長・発展には、『創造』も必ず必要。しかし、これができる、あるいはやっている経営幹部やマネジャーはとても少ないと感じている。
仕事の創造には、意志と構想力の両方が必要だ。前述の支店長の数々の取り組みを聞いていると、仕事をしているというよりも、ガキ大将が野原に仲間を集めて、「こういう遊びしようぜ」と言っているように感じられる。おそらく彼は、そうやって人を集めて、それぞれを楽しませて、自分も楽しむ。そういうことが好きなのだろう。だから、事ある度に、面白い取り組みをプロデュースしてしまう。常にそういう意志が働いている。
一方、意志だけでは、新しい取り組みは生みだせない。小さな芽から大きな樹を創造する構想力が不可欠だ。
意志も構想力も、一夜にして築けるものではない。小さな成功体験を積み重ねて、次第に育っていくものであろう。だから中堅社員の時から、こうしたプロデュースの体験をさせていくことが大事。そんなに数はいらないのかも知れない。しかし、企業の中に2割程度は、新しい取り組みを創造できる人材が必要である。私はそうした人材を、クライアント様と一緒に育てていきたい。
齊藤 文雄
- プロフィール
- 齊藤 文雄(さいとう ふみお)
東京論理思考事務所 代表
1988年東京大学理学部卒。石油会社で石油探鉱に5年、その後、建設省や地方自治体へのコンサルティングに8年半従事。2001年人材育成のベンチャー企業に参画し、2002年東京論理思考事務所設立。
“志の確立”と“問題解決力強化”のセミナーを、自ら開発し実施する。
得意分野:ロジカルシンキング、本気になれる目標設定("軸"や"志"の確立)
講師から一言:“活気と意欲と楽しさに溢れ、高い成果の上がっている職場”の実現を支援します。
西田 徹氏
株式会社エデュケーション 代表取締役
「英語の発音はネイティブに習うな!」
多少ショッキングなタイトルかもしれませんが、「名選手は必ずしも名監督ではない」というのと同じ話と思えば納得していただけるでしょう。「ティーチング・プロは凄いんだぞ」とも言い換えられます。
英語を関西弁に言い換えてみます。私は関西弁ネイティブですから、関東の方がお笑い芸人の真似をしたときなどの「気持ち悪い関西弁」に気づくことができます。また、正しい見本を発音してあげることも出来ます。しかし、何がどのように間違っているのかを正確に指摘することができません。ましてや、どうすれば正しい関西弁に修正できるのかも指導できません。私は関西弁のティーチング・プロではないのです。
英語の話に戻ります。私は約一年半、日本人の英語発音教師のもとで修行しました。「間違いを指摘できる」「正しい見本を発音できる」までは上記と同じです。違うのは、「何がどのように間違っているかを言語化して指摘できる」「どうすれば正しく発音できるのかを具体的に指導できる」ことでした。おかげさまで私の英語発音はみるみる上達し、今では自分のiPhoneに100%近く音声認識してもらえるようになりました。
考えてみると、我々研修講師は、まさにティーチング・プロです。上述した4つのポイントにさらに磨きをかけねばと、あらためて感じる次第です。
ここからは余談です。あまり知られていない事実、「発音が上達するとリスニングも上達する」について少しだけ。そのメカニズムはうまく説明できないのですが、個人的体験は劇的でした。もともとリスニングは得意でしたが、今思うと単語を沢山知っていただけ。今は音素のひとつひとつが、コンタクトレンズを入れたかのように明確に聞こえます。知らない単語も音としては聴き取れるので、後から辞書で調べて納得ということも増えました。
西田 徹
- プロフィール
- 西田 徹 (にしだ とおる)
株式会社エデュケーション 代表取締役
1988年京都大学農学部農芸化学科 修士課程卒業。リクルート入社、情報ネットワーク事業部で技術を担当。その後、組織活性化事業部で企業内教育の営業を担当。ニューヨーク大学でMBAを習得後、リクルート 組織活性化研究所にて研修関連の商品開発を担当。ボストン・コンサルティング・グループ、光ラボラトリー 代表取締役、カレン 取締役を経て、2005年より現職。
著書:「最高の自分になる 6つの力」「1分マスター仕事術」「Eメールマーケティングで売上を100倍伸ばす方法」ほか
得意分野:課題解決、マーケティング、論理的思考
講師から一言:地道な努力を徹底して継続せよ。必ず報われる。
福島 章氏
元気を出す営業開発コンサルタント
株式会社ディ・フォース・インターナショナル代表取締役
「KTになって、その場対応力を鍛えよう」
「KT」とは、「空気を作る」「空気を作れる」ということ。
その場の状況を瞬時に把握し、より良い雰囲気を作るために、敢えて一歩踏み出す行為やその行為を実践できる人のことを、「KT」と名付けています。
日本人は空気を読むのが上手いと言われますが、研修トレーニングの場で、空気を読んでいるのではなく、その場の空気にただ流されているだけの人が意外と多いと感じ、この「KT」という言葉を作ってみました。
その場の空気に同調していると、「自頭力」(白紙から自分の頭で考える力)はなかなか身につきません。本人も気づかぬうちに、思考依存体質・思考停止状態に陥ってしまいます。考えているようで、自ら考えてはいない状態です。そして、自分の想定を超える出来事が起こると一気にパニックになり、簡単に固まってしまいます。
「KTになろう!」と自ら決めている人は、今・ここで、自分がどのような行動(言動を含む)をすることが、その場の「全体最適」に繋がるかを常に思考し続けます。ある時はムードメーカー、ある時は問題提起者、ある時はプレゼター、ある時はフォロワーと、自分の役割を臨機応変に変化させることができます。
その結果、「その場対応力」が鍛えられます。「その場対応力」とは、その場しのぎの対応をする力ではなく、今・ここの出来事の「本質」を掴み、瞬時に、最適・最善な行動へと繋げることができる一連の思考&行動力のことです。
決められたこと、指示された約束事を守ることに長けたといわれる日本人は、その約束事そのものに縛られすぎ、「その場対応力」を鍛える機会を逸している場面が多いようです。マニュアルや指示書がないと動けない、指示されていない対応はできないという人は、これまでの「KT」経験が少なく、「その場対応力」が身についていないため、臨機応変な対応が難しくなっているのでしょう。もっと「KT」を実践してほしいですね。
場の空気は、読むものにあらず、読み切って、自ら創り出すもの「KT」を実践することで、「その場対応力」を鍛えていきたいものですね。
福島 章
- プロフィール
- 福島 章 (福島 章)
元気を出す営業開発コンサルタント
株式会社ディ・フォース・インターナショナル代表取締役
1989年明治大学政治経済学部卒、ユニデン(株)入社。超スピード経営の下、海外OEM事業や中国進出プロジェクトなど多数の特命プロジェクトをチームリーダーとして牽引。1997年ベンチャー企業へヘッドハンティング。営業&マーケティング担当役員として、映像ネットワークサービス事業やITサービスプロバイダ事業など、数々の新規事業の立ち上げをリード。2001年より現職。ビジネス・プロフェッショナル育成の視点から、企業向けに各種オリジナルの研修トレーニングや講演を提供する。
得意分野:営業力開発(含むマーケティング力、企画力)、ビジネス・プロフェッショナル養成、チームリーダー養成ほか
講師から一言:営業に元気なくして、企業に元気なし
「”私たちが持っているもの”に自信を持とう!」
2014.6.3
オリンピックの開催も決まり、日本に何となく明るさが戻ってきたような感じがします。
「失われた20年」というような言い方もされ、日本はもうダメなのではないかというような論調が一時期目立ちました。
が、日本はまだまだ頑張れると私は思っています。私の専門は「マーケティング戦略」ですが、そこで非常に多く見られるのが「自分にとっては当たり前のことが、他人にとっては極めて価値が高い」ということです。
羽田空港では、文房具店が人気。私はアメリカに住んでいましたが、日本の文房具ほど気の利いたものは早々ありませんでした。先日アメリカの友人を訪問したときのお土産も、「針無しホチキス」を10個買って持って行ったのですが、"Oh, Cool!"などと言いながら奪い合いに近い人気を得ました。
日本人が当たり前に行う気配りも、世界的には「超気が利く」対応です。日本では、パソコンのプロジェクターを使いたいと言ったら、接続コードもスクリーンも当たり前のように用意されますが、海外では極端な話「プロジェクターとパソコンを接続するコードも用意して」といちいち指定しなければ「スクリーンもコードもいるって言われてなかったからないよ」と言われかねません(ある意味で正論です)。
私たちが自然とやっていること、私たちの身の回りにあること、というのは海外基準で見ると素晴らしいことばかりです。
つい忘れがちな「私たちが持っているもの」の素晴らしさを見直してみませんか?
佐藤義典
「夢しか実現しない」
2014.4.11
先日、ある金融機関の全職員総会で、理事長をはじめとする約30名の経営幹部が、世界一尊敬される企業を創るために決意表明をしました。
「役員みんなで話し合って、これからは一切怒らないと決めました!これからは、どんな時も笑顔でいます」
「私が皆さんの見本になります!大きな困難に挑む私の姿を見てください」
「私が間違っていました。いままで本気ではなかったのです!」
「数字はもう追いかけません。職員の皆さんを幸せにします!皆さんが大好きです!」
その内容を聞いて、多くの職員が涙を流し、会場は一体感に包まれました。
職員に何かを求めるのではなく、経営幹部一人ひとりが自分がどうするのかということを、自分の体験と言葉で語りました!
もちろん私も、5時間の発表時間ずっと涙が止まりませんでした。
いま世界で起きているすべてのこと、それは自分の出番になります。
私たちは問題を解決したくない時、他人のせいにして他人に要求し、
それが満たされなければ、不満を言います。
一方、本当に解決したい時は、自分の出番にしてワクワクします。
どのような問題が起きているかではなく、その問題をどのように受け止め、
自分がどのように行動するか、それによって未来が変わっていきます。
私たちの未来は、誰か他人が創っているものではなく、自分が今日何をするかで変わっていくものです。
世界中の人々が夢と勇気と笑顔で溢れた社会を創るために、私はこの命を使い切ります。
「夢しか実現しない」
福島正伸
『目的管理』のすすめ
2014.2.17
年間を通じて、様々な企業にお伺いさせて頂いていると、『目的管理』が、最重要であるにも関わらず、目標管理しか行わずに、様々な問題や障害を引き起こしているケースを多くお見受けします。
会社経営、リーダーシップ、モチベーション、チームビルディング、交渉場面などなど、あらゆる場面に於いて、最重要なのが『目的管理』です。
そもそも、目的と目標の違いを認識せずに混在して解釈しており、この2つの違いを正確に捉えることができていない方が多くいらっしゃいます。
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目的があって、目標が設定され、手段が確立される。
何のために、この目標があるのか?手段を講じるのか?が目的です。
漢字にも、違いが表現されており、「的」と「標」の違いです。
具体的な事例で考えてみましょう。
例えば、富士山の山頂に行こう!という目標が設定されています。
山頂に行くための手段は、様々あります。
1.自分の足で歩いて登山する
2.ヘリコプターで山頂に行く などなど
では、山頂に行く目的は何でしょうか?
A. 山頂からの眺めを楽しみたい
B. 自分自身の心身を鍛えたい などなど
目標に基づいて、先の手段を挙げましたが、よくよく目的に立ち戻ってみると、ありえない手段も存在しています。
Aの山頂からの眺めを楽しむことが目的であれば、どちらの手段を講じても良いわけですが、B.が目的であれば、2.の手段を講じることはありません。
企業活動においても、同様です。
目的に立ち戻らずに、目標だけを考えて、講じてしまった手段が、社会的に適切ではない手段となってしまっている事例が後を絶ちません。
今一度、目的に立ち戻って考える『目的管理』をお勧めします。
森 和成
研修を「場」としての役割に変化させる
2013.10.25
研修の目的が見直されようとしている。今までの研修は研修の当日に着目して満足度の高い研修を行おうとする傾向があった。研修後の行動に対する施策も「フォロー」という言葉を使い、あくまで中心が研修当日であることを物語っている。一方でますます多様で複雑化しているビジネス現場では一度決めた行動計画通り行って行けば目標を達成できるほど甘い状況ではなくなってきた。変化の激しい市場に対応するためには、走りながら考えることがより重要になってきている。そんな時代の研修のあり方は自ずと変化してくる必要がある。すなわち研修当日を中心に考えることから、研修後の職場での行動を中心に考えることに変化する必要がある。そのとき「フォロー」という言葉も不釣り合いであることが分かってくる。中心が職場なのであれば、導入である研修はその前工程としての「場」に役割が変化してくるのである。現場での行動を誘うための前工程の「場」はどんな役割なのであろうか。それは大きく2つある。それは自分自身の体の中から沸き上がってくる「揺るぎのない目標設定」と、お互いの目標達成のためにフィードバックし合う「チーム作り」である。この2つが作られる「場」があることで、職場に散った後でも研修で作り上げたチームは解散することなくお互いを高め合い続けることができるのである。よってITも道具として最大限活用される時代になるであろう。
これからの時代の研修の目的は、「行動変容」なのである。インフォーマルコミュニケーションの場が少なくなってきた今の企業の状況においては、研修を「場」としての役割に変化させることで、お互いを高め合う学習する環境を常に職場に創造することができるのである。
永谷 研一
「-0.36と+0.25 日本企業における何の数字か、連想してみてください。」
2013.8.6
東京商工リサーチの今年の調査で、全国で企業倒産数は、前年比22.9%減で、4年連続減少との結果が出ています。一応リーマンショックによる不況から脱却したと言えます。
しかしこの間、企業存続重視で、業務効率化、人・コストの削減、給与体系変更による実質の賃下げ等で、働く人々にしわ寄せを強いてきました。冒頭の数字は昨年の調査結果で、前年と比較した従業員の気持ちの変化です。「-0.36」は従業員満足度と組織愛着感の減少ポイント、「+0.25」は離職意思の増加ポイントです。加え、生活満足度では「-0.63」、将来見通しで「-0.32
つまりこの間、仕事満足、モチベーション、組織への愛着、生活満足、将来見通しの明るさといった従業員の非常に多くのプラス感情が、企業から消えた事を意味します。
最悪の危機的な状況を脱してもなお、効率最優先主義を続けていると、組織が栄養失調でやせ細って倒れてしまいます。「従業員が働き甲斐を感じ、意欲をもって仕事をし、成長していけるような企業経営」というステージに転換する時期だと思います。
私個人も後者の組織作りに微力ながら支援するために日々奔走しております。
石川 歩
永禮 弘之氏
「人の能力や資質は学習や自己変革で変わり続ける」
人材育成の仕事に携わってから、すでに10年以上。1万人を越えるリーダーの育成を支援してきました。
そんな私が、とても感銘を受けた本があるので、内容をご紹介します。
「「やればできる!」の研究」(キャロル・ドウエック著、草思社)
この本は、学習や能力について、対照的な2つの考え方を、認知心理学的な調査研究の結果をもとに書かれています。
2つの考え方とは、人の能力や資質は生まれつきのもので基本的には変わらない、というマインドセットと、人の能力や資質は学習や自己変革で変わり続けるものだ、というマインドセットです。
前者のマインドセットの人は、自分の言動が正解か、他人から高い評価を受けられるかに関心が向き、後者のマインドセットの人は、他人からの評価ではなく、自己の成長に関心が向く傾向があるようです。
また、前者は、失敗できないという切迫感に駆られ、素早く上手にできることにしか手を出さず、上達するのに時間がかかり難しいことには苦手意識を持ち、手を出さない傾向があります。
このマインドセットの違いは、実は親や教師の無意識の行動・言動が生み出しているようなのです。
複数の調査結果から、親や教師が「能力をほめると生徒の知能や学習意欲が下がり、努力をほめると生徒の知能や学習意欲が上がる」ことが立証されています。
そして、優れた教師は生徒の知力や才能は伸ばせると信じていて、学ぶプロセスを大切にします。
著者は、生徒の能力や意欲を伸ばすための教育理念について、「難しい課題を与えて、惜しみなく愛情を注ぐ」と結論付けています。
しっかりとした調査にもとづいて書かれた本なので、企業の人材育成に関わっているみなさんにもお薦めです。
それでは、明日から、またより良い未来を創っていきましょう!
永禮 弘之
- プロフィール
- 永禮 弘之 (ながれ ひろゆき)
株式会社エレクセ・パートナーズ代表取締役
これまで、化学会社の経営企画、外資系コンサルティング会社のコンサルタント、衛星放送会社の経営企画部長・事業開発部長、組織変革コンサルティング会社の取締役などを経て現在に至る。建設、化学、医薬品、食品、自動車、電機、情報通信、小売、外食、ホテル、教育出版、文具など幅広い業界の企業に対して、10,000人以上の経営幹部、若手リーダーの育成を支援。ASTD(アメリカに本部がある、世界最大の人材開発・組織開発の非営利団体)日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長。
著書・雑誌寄稿:『リーダーシップ開発の基本(ASTDグローバルベーシックシリーズ)』ヒューマンバリュー(日本語版監修)、『マネジャーになってしまったら読む本』ダイヤモンド社、『強い会社は社員が偉い』日経BP社、『問題発見力と解決力』日経ビジネス人文庫(共著)、『グループ経営の実際』日本経済新聞社(共著)、『日経ビジネスオンライン』連載「野々村人事部長の歳時記シリーズ1-3」、『日経ビジネスアソシエ』連載「MBA講座」、『人材教育』「ASTD2011 International Conference & Expo レポート リーダーシップ開発は個人の内面と向き合うアプローチへ」、『労政時報』「現場管理職アンケートから見た これからの管理職育成」、『Web労政時報』連載「グローバル人材マネジメントへのリーダーシップ」など多数。
得意分野:部長層~課長層対象の、実課題を扱う課題設定、課題解決プロジェクトマネジメントのアクションラーニング型研修、経営層が行うビジョン・戦略構築やチームビルディングのワークショップのファシリテーション、業務改善課題解決手法の研修および実際の課題解決活動の支援コーチング
講師から一言:人と組織の「リーダーシップの進化」を、クライアントの方々とともに、「パートナー」として追求していきます!
「死を意識して今を生きる」
2013.3.13
「あなたは死ぬときに、どんな場所で誰に看取られ、どんな気持ちで死を迎えたいですか?」
「死を迎えた時、自分の人生でどんなことを誇りに思いたいですか?
最近の中堅向けキャリア研修や、社内の絆強化研修で行う「臨終のワーク」の中で、参加者の方に投げかける問です。
研修では、ワークシートなどを使って、臨終の場面のイメージを描いてもらい、そこから「どんな人生にしたいか」「何を次の世代に残して行きたいか」などを考え、語り合っていただいています。
参加者の方々の表情に真剣味が増し、研修の雰囲気が、ぐっと変わる瞬間です。
一方、日々仕事に追われている日常では、「死」「人生の終わり」を考える機会はあまりありません。
結果として、「永遠と続いていく」ような錯覚のもとで、漫然と「今」を過ごしてしまっている人がどれほど多いでしょうか。
今、日本の社会や企業や教育現場で起こっている様々な問題の一つに、「死」を身近に感じにくい社会を作ってしまった、ということがあると個人的に思っています。
「死」をリアルに自分事として考え、語る場が無いために、死と裏表でセットの「生きる」ということも失われつつあるように思うのです。
誰もが 確実に 死に向かって生きており、いつ死ぬかわからない。
限られた命であり、限られた時間であること。
人生は一度きりであり、有限であること。
この、誰もが頭ではわかっている「当たり前」なことに、心の底から気づいた時、その人の中で何かが変わります。
研修講師とは別の、もう一つの私の大切な仕事である、ライフコーチ。コーチングを通じて、多くの方々の人生全体を支援させていただいた経験から、このような変化の瞬間を沢山目撃させていただきました。
「死」「終わり」を意識することで、「今」が変わるのです。
悔いのない人生を送るために、仕事や人生への取り組み姿勢がより真剣味を増し、この人生で何を実現したいのか明確になり、後世にどんな職場や企業や社会を残したいか、というその人のより根源的な願いや価値観があらわになったりします。
そして、それらは全て「では、今何をするか」「現状をどう変革するか」というエネルギーへと変わっていきます。
「死」は忌避するものではなく、「今を生きる」ための原動力なのです。
良い意味で、「死」を意識し、今を変革していくエネルギーに変えられるようなビジネスパーソンが一人でも増えると、きっと日本の企業は、そして社会はもっと「活力」が生まれてくる。
「死」や「終わり」がもっとポジティブに捉えられ、みんなで考え、語られることで、より活き活き生きる人が社会に増えていったらどんなに素晴らしいだろう。
そんなことを思いながら、研修を提供しています。
河野 雅