99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る
震災で大きな被害を被った故郷宮城県に、イチゴビジネスを立ち上げたドキュメント。
新しい取り組みを立ち上げるために必要な『意志』と『構想力』の両方が、リアルに学べる一冊。この本から学べることのごく一部を以下に紹介する。
①事業アイディアは、徹底的な事実把握から生まれる
「出身地でのビジネス立ち上げ」という目標を掲げたものの、どんなビジネスが有望なのか、上京して久しい筆者にはさっぱりわからない。そこで徹底的に地元ヒアリングを行った。ヒアリングでは、「東北の軽井沢なんていっていたら、本物の軽井沢にぜったいにかなわない。そんなのは本当の強みではない」とか「特産品は苺だというが、シェアも知名度も低い」というように、ただ聞くだけではなく、聞いた話を吟味している。そして、今の時代や世の中の流れに照らし、ビジネスモデルを構築していっている。このように、『とことん聴いた上でビジネスモデルを構築する』というプロセスが読み取れる。
②“がぶり四つ”なコミュニケーションによる協創
筆者は、イチゴ栽培35年の60代の匠と多くの面で考えを異にしたが、相手の話を聞きつつもこちらの考えを率直にぶつけ、どちらの案を取るかという二者択一ではなく、双方の意見の上に新たな案を協創していった。筆者曰く、「毎日議論は絶えないが、イノベーションは常にそんなバラエティーにあふれる環境から起きるものなのだ」。
新しい仕事を立ち上げるには、立場や考えの違うメンバーによる協議と衝突が不可欠。目標に向かう強い意志を持って、粘り強くオープンなコミュニケーションを続ければ、きっと活路が見い出せる。
③人を巻き込むには、「利他」の視点が不可欠
筆者は、プロが本業の空き時間にボランティアで手伝ってくれる仕組みの構築に成功しているが、そのボランティアに良い仕事をしてもらうために、本業にプラスになることをやってもらうという点を大事にしている。企ての中心人物は、知らず知らずのうちに自己中心的な考えにならないよう、相手の利益を真剣に考えることが必要。すべての関係者にたくさんの利益があるような取り組みを生み出す。それがプロデューサーの腕の見せ所だ。
④同じ波は二度と来ない
宮城県での事業が立ち上がりつつある頃、筆者のもとに、海外で事業立ち上げの話が舞い込む。宮城県の事業だけでも手一杯な筆者は、それでも、海外での事業の立ち上げを決意する。その時の言葉が、「サーフィンをやる人ならわかると思うが、同じ波は二度と来ない」。
社内の議論では、できない理由やリスクの話ばかりになりやすい。しかし、新しい取り組みを生み出すためには、チャンスを見出すチャンス志向とそれに飛び込む勇気も必要。この著書では、そんな『ポジティブ・シンキング』も学ぶことができる。
齊藤 文雄
「マトリクス」~豊富な事例と自分オリジナルのマトリクスの作り方~
PPM、アンゾフのマトリクス、SWOT分析など、田の字の形をした図形であるマトリクスはビジネスにおいて大活躍します。先人たちが作ってくれたこれらのマトリクスを活用することは素晴らしいのですが、それは入門編に過ぎないともいえます。
自分オリジナルのマトリクスを作成し、現状分析や提案などに生かすことこそが、本来のマトリクスの醍醐味です。しかし、残念なことにオリジナルのマトリクスをどう作るのかについて触れた本は今まで存在しませんでした。そこで、マトリクスの「トラの穴」とでも言えるボストン・コンサルティング・グループにかつて在籍した筆者が、そのノウハウを開示したのがこのKindle書籍です。
注)Kindleの書籍は専用端末でなくても、スマートフォンやタブレットに無料のKindleアプリをインストールすれば読むことが出来ます。
西田 徹
人を動かす、新たな3原則売らないセールスで、誰もが成功する! TO SELL IS HUMAN The Surprising Truth about Moving Others
2014.7.24
現代「セールスは人なり(TO
SELL IS HUMAN」」。『モチベーション3.0』のダニエル・ピンクがおくる、21世紀版「人を動かす」3原則! 営業に携わるすべての人に―営業に関わらないすべての人へ。自らのセールス力を解き放つ、売らない売り込みの極意!人間の本質は、セールスである。人間なら誰もが産まれもっている力である。セールス(売る)という行為は、過去100年の間よりも、この10年の間に著しく変貌したという。長い間の定説であるセールスの金言 ABC“Always Be Closing!”(「必ず契約をまとめろ!))は、もう通用しない。21世紀に必須なのは、ダニエル・ピンク氏が名付ける“non-sales selling.”(売らない売り込み)である。ビジネスに従事する人であれば全員が求められる必須の力。21世紀のセールスABCとは、Attunement(同調), Buoyancy(浮揚力),
Clarity(明確性)。 営業に携わる方も関わらない方も、自らの潜在的なセールス力を見直し、その力を自分の仕事に活かしたい方、ぜひご一読をオススメします♪
福島 章
経営のすべてを顧客視点で貫く<社長の最強武器>戦略BASiCS
2014.6.3
506ページの超大作。数々の戦略理論をまとめあげ、使いやすいツールに落とし込んだ経営者・マーケター必携の1冊。マーケティング戦略で考えるべき要素はたった5つ。
1)Battlefield:戦場・競合、2)Asset:独自資源、3)Strength:強み、4)Customer:顧客、5)Selling message:メッセージ。その頭文字を取ると「BASiCS」。理論を有り難がるのではなく、実戦で成果を出したい方にお勧めです。
佐藤義典
「1日1分元気になる法則」~もう一度元気が湧いてくる
私は約15年間に渡って、毎日6名の方に元気が湧いてくる言葉を書いた応援のハガキを送っています。
その中から厳選し、「人生が変わる考え方」として24の言葉をその解説とともに紹介しています。
「思い通りにならない他人が自分を成長させてくれる」
「話す言葉を選ぶ前に、話す気持ちを選ぶ」
「すごい人を見て、天才だな、と言う人はあきらめている。努力だな、と言う人は挑戦している」
「本当の強さとは、勝つことよりも、立ち直ること」
「どのような事態であろうとも、それは必要な事態である」
・・・
一つの言葉で人生が変わることがあります。
本書が人生を変える一言との出会いになれば、それほどうれしいことはありません。
福島正伸
『プロセスコンサルテーション』
2014.2.17
答えを与えるアプローチではなく、答えを自ら導き出してもらうアプローチにより、相手側のコミットメント(所有感)を高い状態にする。
リーダーシップ、営業活動、プロジェクト運営、組織変革等々、様々な場面で活用できる考え方です。
組織開発の分野で5本の指に入るEdgar H.
現代で言えば、ファシリテーションやコーチングのアプローチに類似しますが、そのアプローチの本質について論じられており、おおいに示唆に富んだ内容です。
森 和成
『リーダーシップ開発の基本~効果的なリーダー育成プログラムを作る~(ASTDグローバルベーシックシリーズ)』
2013.5.7
本書は、長期的な観点で、組織にとって必要なリーダーを育成するためのプログラム企画の総合ガイドです。
具体的には、経営戦略を実現する上で必要なリーダーシップ・コンピテンシーを明らかにする手順を紹介し、リーダーを育成する様々な学習機会(タスク・フォース、アクション・ラーニング、コーチング、メンタリング、ジョブ・ローテーション、外部の研修プログラムなど)について、その種類と活用の際のポイントを解説しています。さらに、リーダーシップ開発プログラムの組織へのインパクトを測定・評価するための方法についても概説します。
本書の内容は、人材育成の実務に携わる方が、適切な学習機会を設計し、より効果的なリーダーシップ開発プログラムを作るのに必須の知識といえます。
※本書はASTDが刊行しているベーシック・シリーズを翻訳した「ASTDグローバル・ベーシック・シリーズ」の第4冊目にあたります。このシリーズは、米国を中心とする企業で使われている人事・人材開発の言葉や概念を日本で人材育成に携わる方々に紹介することを目的としています。
永禮 弘之
『旅をする木』
96年に、カムチャツカで熊に襲われ他界した、写真家、星野道夫氏のエッセイ集。
この本で表現されていることは、非常にシンプルです。
人という存在、そして人生の素晴らしさであり、圧倒的なまでの自然の美しさ。
さらに、自然や人の命の逞しさと、時に驚くほどの脆さ。
これらが、星野氏独特の暖かい筆致で描かれています。
読むと心が潤い、豊かになり、自分の生命力や内なる創造性が蠢きだします。
また、自分はこれからどう生きていくのか。
自分がこの世を去る時に、何を後世に残したいか。
そんなことを考えるキッカケとしては最適です。
ビジネスの世界で、第一線で活躍している人にこそ読んでいただきたい一冊です。
河野 雅